ハワイの宝物、シャングリ・ラ邸。全貌を一挙大公開!

ハワイの宝物、シャングリ・ラ邸。全貌を一挙大公開!

ダイヤモンドヘッドの麓にあるその邸宅の名は、シャングリ・ラ(理想郷)。道路からは白い外壁が見えるだけの閑静な佇まい。でも、一歩中に入ると、海に面した5エーカーの広大な敷地に、イスラム美術の贅を尽くした見事な大邸宅が建っているのです。この邸宅の持ち主はドリス・デューク(1912~1993)という一人のアメリカ人女性。どんな生涯を送り、どのような思いをこの大邸宅の建築に込めたのか。邸宅の鑑賞ツアーに参加しながら、その不思議な世界をのぞいてみましょう。

ホノルル美術館に集合♪

現在、シャングリ・ラは美術遺産として、ドリス・デューク慈善財団によって大切に管理されていて、ホノルル美術館が主催する小人数・完全予約制の鑑賞ツアーでのみ一般公開されています。

 ホノルル美術館前。ここから専用バスでシャングリ・ラ邸へ

ツアーはベレタニア通りにあるホノルル美術館から出発。ツアー参加者はホノルル美術館への入場が当日無料なので、バスの発着まで館内を自由に見学することもできます。イスラム美術のコレクションが充実していて、その一角にはシャングリ・ラの特別展示室も。室内にはムービーコーナーがあり、ドリス・デュークの生い立ちや建設中の逸話などを盛り込んだショートムービーが上映されています。英語ですが、映像だけでも十分理解できる内容なので、ツアー前に見ておくとぐっとツアーが興味深くなりますよ。

ホノルル美術館内のシャングリ・ラの特別展示室

専用バスで出発!

専用バスが到着。バスに乗り込み、いざ出発~! シャングリ・ラ邸までの所要時間は約15分です。

専用バスに乗って、シャングリ・ラ邸へ

いよいよ待ちに待ったツアーのスタート。今日の日本語ガイドはクミコさん。邸宅内は撮影禁止なので、彼女の説明を聞き逃さないよう、しっかり見学しますね。

 日本語ガイドのクミコさん

玄関の向こうには果たして……!?

内に美を求めるイスラム建築様式に基づいて建てられたシャングリ・ラ邸。シンプルな外壁で囲まれた邸宅は外からは見えず、一歩足を踏み入れると、幾何学模様が複雑に絡み合った色鮮やかな装飾美の世界が広がり、まさに圧巻。

 隠れ家のようなひっそりとした入り口

玄関にある小部屋は、天井近くの壁の四面を特注の小さな飾り窓が取り囲んでいます。邸宅内に82枚もあるこの飾り窓は、オリジナルの3枚をハワイに運び込み、残りはドリスさんの監修のもと、ハワイで制作したそうです。壁に敷き詰められた600枚もの青いタイルは、イランの国花にもなっているチューリップがモチーフ。ランプにはアラビア文字の透かし彫りが施されていて、明かりが灯るとそれはもう幻想的な美しさ。

光と水が重要なエレメントの中庭。ここにも装飾的なタイルがびっしり。古くは13世紀のタイル、絵具が盛り上がっているのが特徴のクエルダセカタイル、モザイクタイルなどを組み合わせ、完成までに30年を要したというから驚きです。モザイクタイルは17000ピースも使用されているそうですよ。

 モザイクタイルが美しい中庭

ゲストをもてなしたリビングルームへ

シャングリ・ラが建っているブラックポイントは、海を真正面にして右手にダイヤモンドヘッドが見えるハワイ有数の景勝地。その絶景を愛でるようにしつらえたオーシャンフロントのリビングには、床から天井まで全面自動ガラス窓が取り付けられています。全開にするとさわやかな貿易風を室内に取り込むことができ、窓を閉めると装飾的な透かしスクリーンによって外からは中が見えないため、プライバシーも確保。ハワイの美しい海と気候を最大限に楽しめ、なおかつ室内はラスタータイルを多用した光輝くような装飾、床に敷いたクエンカカーペットがどこまでもイスラム的。圧巻なのはイランから取り寄せたとう奥の壁に付いているミフラーブ。メッカの方角を示すキブラ壁に設置されるミフラーブは、ラスター彩で見事な装飾が施されていて、これだけでシャングリ・ラ邸と同じくらいの金額だというから驚き! 邸宅そのものがまさに美術品なんですね。

 ハワイの風と景観が満喫できるリビングリーム

こちらは伝統的なイスラム様式に基づいて作られたリビングルーム。イスラムのエリートの家にのみ取り入れられていた様式に従い、フロアは中庭から2段低く、天井高は7メートル以上、壁の2/3に装飾を施し残りの1/3には窓を作り、部屋には噴水をしつらえ、フロアには幾何学模様のタイルが敷かれています。なかでも壁の装飾には、シリアのダマスカスで700年続いた名家であるクアテリサン家から放出されたものが使われていて、美術品としての価値は計り知れないとのこと。シャングリ・ラの他にはメトロポリタン博物館などにも、その一部が保管されているというからスゴイですね~。ハワイに運び込まれたときには、空爆を経てすすけてしまっていたそうですが、根気よく磨きなおして金色に輝く本来の美しい姿に修復したとのこと。ドリスさん自らが磨くこともあったそうですよ。

ゲストは最初にこのリビングに通された

ドリスが大改装したダイニングルーム

イスラム遊牧民の生活からヒントを得て、50代のドリスが大改装をしたダイニングルーム。一面はモザイクタイルの壁、残りのガラス窓はエジプトとインドのタペストリーで覆われています。テントのように盛り上がった天井からは、思わずため息が漏れるような19世紀のバカラ製の豪華なシャンデリアが飾られています。ラナイにもここから出ることができるんですよ。

ダイニングルームの天井には、バカラ製のシャンデリア
 ラナイにしつらえられたダイニングテーブル
広々としたラナイ。ラナイの前には真っ青な海が広がる

2014年に公開がはじまったベッドルーム

マグハル・スイートを呼ばれるベッドルームは、2014年に公開がはじまった最もプライベートな空間。大理石に美しい彫刻をほどこしたスクリーン、鏡の彫刻が輝くドームのような天井、大理石のバスタブなど、光と水のエレメントとパターンの美しさを融合させた女性らしいつくりになっています。ダイヤモンドやルビーで飾られた小物入れなど、ドリス・デュークの私物もこの部屋で一部公開されています。

エレガントな装飾に包まれたベッドルーム
ドリスの私物も、ベッドルームで一部公開されている

開放的なムガール庭園

スイミングプールに平行して、庭には長く直線に伸びる水路、シメントリーに植えられた木々、蓮の形の噴水などが特徴のムガール庭園が造られています。夜になると灯りがともり、それは幻想的な雰囲気を醸し出すそう。うっとりですね。

タージマハールに続く庭園を模した、ムガール庭園

ドリスの人生を注ぎ込んだシャングリ・ラ邸

溜息のでるような、この大邸宅をつくり上げたドリス・デュークは、12歳のときに大実業家だった父が亡くなったことで、現在の価値でおよそ10億ドルという遺産を手にします。世界で最もリッチな12歳となったドリスは、世間の注目から逃れるように世界各地を巡りました。22歳で結婚し、ハネムーンの最終地として立ち寄ったのがハワイ。ドリスとその夫、ジェイムスはハワイに魅了され、翌年、5エーカーの土地を手に入れるとシャングリ・ラ邸の建設に着手、1937年に完成しました。

シャングリ・ラ邸には多くの著名人がゲストとして招かれています。中でも親密だったのが、「サーフィンの父」と崇められているハワイの英雄、デューク・カハナモク。デュークとその兄弟たちが、ドリスにサーフィンを教えたといわれています。

 ドリスとサム・カハナモク 1939年

一人の女性が文字通り人生をかけて創造した自身の理想郷……。数々の輝く宝物の陰に、ドリスの悲しみや嘆きまでもが感じられそう。次回のハワイの旅で、ぜひ訪ねてみてくださいね!

ホノルル美術館

住所:900 S Beretania St, Honolulu

Shangri La
シャングリ・ラ

住所:4055 Papu Cir, Honolulu
日本語ツアー時間:水曜・金曜12時(所要時間約2時間/定員12名)英語のツアーはHP参照
https://honolulumuseum.org/4883-tours_shangri_la
ツアー料金:$25(8歳未満は不可/ハワイ居住者はID表示で$20/ホノルル美術館の入館料含む)
駐車場:ホノルル美術館の駐車場(1111 Victoria St.)を利用。$5(5時間)
申し込み:電話808-532-3853(ハワイ時間8時~16時30分/手数料$2)
またはEメール
shangrilatickets@honolulumuseum.org
にて2か月前から事前受付。
ホノルル美術館での直接申し込みは火曜~土曜10~16時まで
休館日:7/4、91~10/3、11/26、12/12、12/25、1/1

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