ハワイ・オアフ産の絶品ラム酒、コハナ

今、全米各地で“クラフト”な酒造りがブームとなっている。オアフ島に2年前にオープンしたホノルル ビアワークスをはじめ、クラフトビールも大人気だ。そんな中、初のオアフ産ラム酒の噂を耳にした。しかも、原材料のシュガーケーン(サトウキビ)も自家栽培しているという。そのマヌレレ醸造を訪ねた。

絶品のラム酒。その旨さの秘密に迫る!

オアフ島中央にあるクニアは広大な農業地域。かつてはシュガーケーン畑として栄え、その後はデルモンテがパイナップルを大規模に栽培していたが、産業は衰退の一途をたどり、デルモンテも11年前に撤退。ゴルフコースや住宅地に再開発された一部の地域を除き、大半は農地として残され、地元の農家が細々と農業を営んできた。そのクニアに今、新しいムーブメントが起こっている!

ムーブメントの中心となっているのは、ここマヌレレ蒸留所。この土地に適した産物であるシュガーケーンの生産を再開し、これを原料とするラム酒の製造がスタートしたのだ。

オアフ島中央にある農業地域、クニア。右はマヌレレ蒸留所の外観

ラム酒のブランド名はKoHana(コハナ)。ハワイ語で「Ko(コー)」は「シュガーケーン」、「Hana(ハナ)」は「仕事」という意味があり、まさにシュガーケーンがいい仕事をすることでおいしいラム酒が生まれる。

コハナ・ラムは、アラン・ウォンズやロイズなどの一流レストランや、以前、当サイトで紹介したパイント+ジガーなどのクラフトバーにしか卸していない。2015年6月に、蒸留所内に直売ショップがオープンすると、希少性の高い、絶品のラム酒が手に入るとSNSや口コミでたちまち大評判に。ホノルルからわざわざ足を運ぶツーリストも増えている。試飲ツアーも大人気だ。

コハナ・ラムがどのように造られているのか、その製造工程を詳しく紹介しよう。案内してくれたのは、製造と販売の責任者を務めるカイルさん。

案内してくれたカイルさん。製造と販売の責任者

「2年ほど前に、マヌレレ蒸留所のオーナー2人に相談され、ここで再び本格的にシュガーケーンを栽培し、ラム酒の製造を始めることを決意したんだ。クニアは、昼夜で寒暖の差が大きくて、土地が乾燥している。それがシュガーケーンにストレスを与えて、糖分がギュッと詰まった甘いシュガーケーンが育つんだ」。

カイルさんの後ろについて、蒸留所の裏手にある農道を歩いていくと、目の前には15エーカーもの広大なシュガーケーンの畑が広がっていた。5年前に栽培が再開されたばかりだということだったが、シュガーケーンはわずか1年半で収穫できるまでに育つ。現在、すでに12種類のシュガーケーンが収穫されているという。今後は植え付けの時期を調整して、36種類あるハワイ原産のシュガーケーン全種を育てる予定だ。

蒸留所の裏手に広がるシュガーケーンの畑

「シュガーケーンは、品種によって味も違う。例えば、これは幹が濃茶のパパアという種。古代ハワイアンが儀式に使ったり、タロイモ畑の一部に土壌を固めるために植えたりした、伝統的な品種なんだ。シュガーケーンは幹の色が濃いほど甘味が強い。こっちの、幹がグリーンのラヒという種は塩気が効いた青臭い味がするし、飴色のパカヴェリはキャンディみたいな味がするんだよ」。

パパアという種のシュガーケーン。ハワイの伝統的な品種

  

左はラヒ、右はパカヴェリという品種のシュガーケーン

  

収穫されたシュガーケーンから、まずはジュースを搾る。約4トンのシュガーケーンから、8時間かけておおよそ500ガロンのジュースが採れる。

ミルでシュガーケーンのジュースを搾る

そこにカカオイーストを加えて7日間発酵させた後、蒸留器にかけて熱でアルコール分を抽出する。

抽出したジュースにカカオイーストを加え、その後、蒸留器にかけてアルコール分を抽出

不純物をきれいにろ過すると、約50ガロンのラムの原酒となる。そこに、チャコールフィルターでろ過した水を加え、オーク樽に入れて熟成させると、めでたくラム酒が完成する。

ラムの原種はオーク樽の中で熟成される

ここまでの一連の作業にかかる日数は約15日。その全工程を、スタッフが手作業で行っている。15エーカーのシュガーケーン畑から製造できるラム酒は、今のところ約500ケースだが、その希少性の高さも人気沸騰の一因だろう。

おいしいラム酒を造る秘訣を、カイルさんに聞いてみた。
「ラム酒の色や香りは、熟成させる際に使うオーク樽によって変わってくるんだ。例えば、シャルドネならフローラルな香り、バーボンならバニラキャラメルの香り、ニューアメリカンならシナモンやナツメグの香りが楽しめる。さらにいうと、樽の内側が焦がされて炭化しているものや、ハチの巣のようにデコボコしたものもあるんだけど、こういう違いもラムの味に大きく作用する。樽の中で熟成させる期間が長いほど風味も増していくんだけど、そこはワインの醸造と似ているかもしれないね。そして、おいしいラム酒造りのためにもっとも重要なことは、原料であるシュガーケーンの品種の特徴に合った香りづけをすることだよ。その微妙なバランスが味を左右するんだ。これは、製造者の感覚がモノをいう。僕は大学院で化学を専攻してプロテインの研究をしていたから、もしかしたらその経験が多少は生かされているかもしれない。もちろん、バーテンダーとして培った味覚が大きいけどね」。

ツアー・レポート!

マヌレレ蒸留所には、広々とした展示エリア、オシャレなショップエリアがある。ショップには、セピアカラーのフラダンサーのファイン・アート・フォトグラフィーで世界的に著名な写真家、
キム・テイラー・リース氏の作品も展示されている。キム・テイラー・リース氏はコハナ・ラムのパートナーで、彼の名が刻まれた限定ボトルも販売されたが、すぐにソールドアウトとなってしまった。

ショップエリア(左)と、スタイリッシュな展示エリア(右)

ここは、ラム酒を買いに立ち寄るだけでも楽しめるが、せっかくクニアまで足を伸ばすなら、ラム試飲ツアーに参加してみよう。

手作り感いっぱいのツアー・インフォメーション

ツアーに参加すると、まずはシュガーケーンのジュースがショットグラスでふるまわれる。グラスに注がれたジュースは鮮やかな黄色で、すっきりとした自然の甘みは驚くほどのおいしさだ。

シュガーケーンのジュースを試飲。クニアの自然の恵みだ

その後、展望デッキから広大なシュガーケーン畑を眺め、中庭でシュガーケーンについての講習を受ける。最後に、待ちに待った試飲! 今シーズン店頭に並んでいるラム酒を試飲する。

ツアーのハイライト、ラムの試飲

試飲したのは、左から
★KOHO(コーホー):マハイウラ種。ニューアメリカン・オークの樽で4か月熟成。$45/90 USプルーフ
★KEA(ケア):ラヒ種。熟成していない原酒。$30/80 USプルーフ
★KOKOLEKA(ココレカ):カカオニブとマウイ産ハニー入り。$40/60 USプルーフ

今回試飲した3種のラム

また、試飲ツアーとは別に、シュガーケーン畑と水耕栽培の見学ツアーもある。こちらではシュガーケーン畑の横にある、オアフ島最大のレタスの水耕栽培を見学することができる。太陽光発電でポンプを作動し、畑に水を送り込んで約5,000株のレタスを栽培している。水槽に魚を飼うことで液肥を作っていて、魚のエサにはココナッツ・ハスク(ヤシ殻)を使うなど、完全にサステナブルな仕組みを構築している。収穫されたレタスは、オアフの有名レストランに供給されている。

レタスの水耕栽培(左)。魚の飼育によって液肥を作っている(右)

サウス・クニア・ヴィレッジにあるマヌレレ蒸留所は、H2を北上してミリラニ方向からアクセスすると便利。フレンドリーなスタッフが待ってますよ~! オアフ産のおいしーいラム酒、一献の価値あり!

陽気で元気いっぱいのスタッフが迎えてくれる

カイル・リュトナー
Kyle Reutner

大学院で化学を専攻。学生時代にバーテンダーのアルバイトをしていて、その縁で卒業後はピッグ&ザ・レディ、タウン、パイント+ジガーなど人気レストランのバーの立ち上げに携わる。2015年6月よりマヌレレ蒸留所にて、コハナ・ラムの製造、販売のマネージャーを務める。

KoHana Hawaiian Agricole Rum
Manulele Distillers
コハナ・ハワイアン・アグリコール・ラム
マヌレレ蒸留所

92-1770 Kunia Rd., Kunia
Tel:808-649-0830
Open:10:00~15:00(水~土)

ラム試飲ツアー:$25(10、12、14時スタート/所要時間1時間/試飲2杯と持ち帰り用グラス含む)
シュガーケーン畑と水耕栽培の見学ツアー:$18(10、12、14時スタート/所要時間1時間/ジェラート含む)
HPにてオンライン予約を
www.kohanarum.com

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